「努力は必ず報われる」
白血病を克服し、見事、五輪の切符を手に入れた池江璃花子選手が放った言葉で、話題になったのは記憶に新しいところです。
実は私は以前からこの言葉にはとても違和感を感じていました。
同じ「努力」をしても、報われない人もいる。
ましてや、病気などというものも、努力だけではどうにもならないものなのではないでしょうか?
では何故、同じ努力をしても報われる人と報われない人がいるのでしょうか?
それは、端的に言うと「マインドセット」の違いです。
池江選手レベルのアスリートになると、「勝つ」ということへのイメージを瞬時に呼び起こせるような強靭な脳に出来上がっているのではないか?と。
その理由は私たちの脳の構造に起因しています。
本来、私達の脳は現実に見たこととイメージしたことの区別ができません。
その脳の仕組みを利用して、アスリートたちはよく「イメージトレーニング」という手法を使い、実際に自分が競技に出場して勝利を勝ち取る瞬間を詳細にイメージする、という訓練をしています。
これもアスリートたちの間からよく聞く言葉ですが、「ゾーンに入る」という状態です。
極度の集中状態を作り、ただそこだけに「フォーカス」する。
いわゆる「いまここ」の境地です。
恐らくですが、池江選手も病床においても五輪に出場して勝つ、というところだけに一極集中していたのではないでしょうか?
彼女が復活劇後のインタビューで「五輪は勝たなきゃ意味がない」と語っていたのを聞いて確信しました。
病気でありながらも、克服し、現役の時と同等、もしくはそれ以上の結果をなし得たのも、その「フォーカス力」の強さだったに違いない、そう思った時、すべてが腑に落ちたのです。
この「フォーカス力」の強さがマインドセットの強さです。
そして「フォーカス力」は、誰にでも鍛えることができます。
その意味で初めて「努力は必ず報われる」と声を大にして言えるのだ思います。